MANAGER TALK社長・専務対談

技術商社、これから先の100年に向けて
(画面左から)取締役社長 成田 茂之/
代表取締役専務 成田 隆造

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Section01

明治時代に
鉄鋼用ヤスリの製造販売からスタート

社長今回は就職活動中の皆さんに、水戸工業という会社をより深く知ってほしいという想いから専務と二人で対談をすることになりました。それこそ、話したいことはたくさんありますが、まずはどのような話題から始めましょうか?

専務当社は明治時代から続く会社です。まずは簡単にその歴史を知ってもらうことからスタートしてはどうでしょうか。

社長では、水戸工業の誕生からお話を始めたいと思います。水戸と名前はついていますが創業の地は新潟県燕市です。江戸時代から鍛冶屋の多い地域で、ここで事業を始めたのが明治30年。西暦だと1897年で、今から約130年前の話です。事業としては日本の産業が軽工業から重工業化へと様変わりしていく時代でもあり、工業用の道具として需要が見込める鉄鋼用ヤスリの製造と販売を行っていました。

専務販売だけではなく、工具を製造するメーカーでもあったのですね。なぜ、数ある工具の中からヤスリを選んだのでしょうか?

社長当時の日本の技術力で作れる工業用の道具としては、ヤスリぐらいしかなかったからでしょう。今では想像もできませんが、ドライバーやスパナといった工具は国内で生産できず、外国からの輸入に頼っていました。

専務その後、東京へ進出しましたね。

社長そうです。大正時代に新潟から東京へ進出しました。おかげさまで事業は好調で、昭和になると都内の工場が手狭になり茨城県の水戸市にも工場を開設しています。それが現在、ミトロイというブランドで事業展開している工具メーカー、水戸工機株式会社の前身となります。

専務それが当社の社名にある水戸の由来となったわけですね。太平洋戦争が終わって、その水戸の工場では米軍が持ち込んだソケットレンチの生産を開始しています。東京の本社の状況はどんな感じだったのでしょうか?

社長私の父が戦地から戻ってきたときには東京は一面の焼野原、もしくは空襲による火災を避けるために建物がすべて壊されていて、とにかく何もなかったそうです。そのため、戦後の事業を再スタートするにあたっては明治時代から金物を扱う業者が多く集まっていた神田がいいだろうということで、金物通りに近い現在の場所に本社を構えました。それからは、戦後の日本の復興と経済成長の波に乗って、ソケットレンチ以外のさまざまな工具も提供して事業を拡大していきました。昭和20年代、30年代というと、大きな工場も今のように自動の工作機械があるわけではなく、工場で加工した部品を組み立てるために、手で使うドライバーやスパナといった工具がものづくりの道具として必要とされる時代でした。

Section02

技術商社の使命とは、
お客様と一緒に未来を創ること

専務では、創業当時から現在まで引き継がれてきた、技術商社の使命とは何でしょうか?

社長道具というものは生活を楽にする、楽しくする、便利にする、潤いを与えるものだとすると、自動車なんかも道具ですよね。飛行機だって、カメラだって道具です。それから発電所、これも大きな道具です。私たちはそういった道具を作るために必要とされる道具を提供することで、日本のものづくりのお手伝いをしてきたし、それが技術商社の使命だと考えています。もちろん、世の中もどんどん変化していますから、例えば自動化が進むといった新たな動きにも適応できるように、現在では機械設備といった大きな道具はもちろんのこと、ソフト面も含めて社会で必要とされる道具を総合的に提供できる会社になってきたと思っています。

専務それは、私たちが社会に貢献できる世界が広がっているということですね。

社長今は日本だけではなく、世界中でいろんな問題を抱えています。たとえば気候変動によるCO2の削減や、先進国では少子高齢化で労働力が不足することもあるでしょうし、エネルギーの問題もあります。では、そういったこれからの人類にとって重大な問題を解決するのは、どこの誰なのか?人類の英知を集めていろんな課題を解決していくことになるとは思うのですが、ではどこが実践するのかと言えば、それは企業なんです。企業が課題解決に事業として取り組んでいく。そうすると、私たちのお客様というのは日本を代表するような大きな会社ですが、その大きな会社の方々がこういった課題解決のために必要とされるものをいろいろと研究して実現していく。私たちは、ものづくりを通じてその一翼を担っているわけです。それは言い換えれば、お客様と一緒にこれからの人類の未来を創っていくということですから、大きなやりがいがあります。

専務これまでも私たちは道具をお客様に提供して人々の生活、社会の発展に微力ながらもお役に立てるようなことをしてきたと思うのですが、まだまだ技術商社としてできること、やりたいことはたくさんありますね。

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Section03

水戸工業の強みは
人材とパートナー企業にある

社長そういった技術商社としての水戸工業を支えている強さは、どこにあると思いますか?

専務私たちの強みは、やはり人材です。それによって、日本を代表するような大きな会社のお客様との信頼関係を長く続けてこられたのだと思います。当社は日本全国にたくさんの営業拠点をもっていますが、そこで働く社員が優秀でなくては、いくら体制を整備したところで機能しません。また、それら拠点の社員と一緒になって汗を流していただける、それぞれの地域の協力企業の皆様も大切なパートナーです。そのような方々の存在があって、当社がお客様から評価いただけるのだと日々、実感しています。

社長私たちの強みというのは、確かにその通りです。社章でも、アルファベットのMの周りを三つの輪が囲んでいます。Mというのは水戸工業のMですが、周りの輪が何を表しているかというと、ひとつはお客様、ひとつは協力会社、そしてもうひとつが社員です。この3つがしっかりと結びあってお互いに協力し、それぞれの強みを発揮することができれば、より社会の発展に貢献できます。また、お客様の要求をいち早くキャッチして素早く対応できるよう、すべての営業拠点をお客様の製造現場のできるだけ近くに設けていることは、3者の関係性をより強固なものにするためにも役立っています。

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Section04

現状に満足することなく、
技術力の向上を目指す

専務では、そのような強みをもつ当社にとって、これから必要になってくるのはどういったことでしょうか?

社長将来の水戸工業にとって大事なのは何かというと、やはり技術力であることに変わりはありません。これまでも社内の技術教育には熱心に取り組んできたとは思いますが、お客様の期待に応え、当社が成長していくためにはさらにワンランク上の技術が必要となっていきます。同じ商談でも、お客様とさらに突っ込んだ話をしていくためには、相手と同じ目線に立って、おこがましくてそのようなことは言いづらいわけですが、少なくともお客様の話がわかる、わかった上でそれに対してお応えするだけの知識、そういったものがないとお役に立てないということです。
そして、もうひとつは私たちがものを作っているわけではありませんから、実際にものを作っていただける協力企業の皆さん、そういった方々の技術力があって、はじめてお客様のご要求にお応えできるのですから、そんな協力企業さんとの技術を介したコミュニケーションも非常に重要です。

専務これまで当社は自動車や建設機械のメーカーをお客様とした取り引きが多かったわけですが、近年ではさまざまな分野のお客様とお取引をいただけるようになってきました。

社長専務が始めた医療分野での事業も好調ですね。

専務私が先頭に立って進めている医療関係の事業というのは、製薬企業や創薬の研究をされている研究機関などがお客様になるわけですが、そういったお客様にお使いいただけるような道具を提案する場合でも、これまで当社が培ってきた技術に対するノウハウを活用することで手応えを感じています。もちろん、道具といってもハードの面だけではなくて、解析分野も含めてソフトの面もありますから新しく勉強しなければならない領域は広いのですが、同じものづくりという視点から見れば意外と共通する部分があります。

社長これまでお取引を頂戴していないような分野のお客様であっても、これまで私たちが培ってきたノウハウや技術といったものを活用しながら、新しい分野の技術力も高めていくことでお役に立ちたいですね。いずれにしても、私たちがお客様の要求をしっかりと理解して、それを協力企業の皆さんにキチンと伝えることができれば、私たちの事業には無限の可能性があると思っています。

Section05

日本と海外、
双方にメリットのある取り組みを

専務お客様のものづくり現場では、グローバル化が急速に進んでいます。そのため、当社も 中国とタイに現地法人を開設していますね。

社長海外拠点の役割は、商品や部品の調達だけではありません。海外へ進出された日系企業のお客様に対する生産サポートなども含めると、海外拠点の重要性はこれからもますます高まっていきます。

専務国内の事務所にも、外国籍の社員の方が増えましたね。

社長アジアを中心にして、国籍からいうと6か国から7か国くらいですが、多くの外国出身者の方と一緒になって仕事をしています。将来的にはそういった方々の力を借りて、世界に対してもお役に立てるようなことをやっていきたいですね。例えば、これまでのように日本で造った製品を海外に売っていくだけではなくて、日本のものづくりの現場に競争力のある海外製品も積極的に取り込んでいく。これは日本と海外の企業、双方にとってのメリットがあると思います。日本のお客様にとってはコスト面での競争力が高まりますし、日本の企業が要求する製品のレベルは高いですから、海外のメーカーにとっては取り引きを通じて勉強になることがたくさんあるはずです。

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Section06

たくましさを土台に、
自分らしさを発揮してほしい

社長では最後に、当社の人材観について。これからの水戸工業に必要なのは、どのような人材だと専務は考えていますか?

専務私たちに求められる技術領域というものが非常に広範囲になっていますから、自分自身でアンテナを張りながらも、さまざまな分野の方と広く協業できるような人材ではないでしょうか。新しいものを創造していく場面では正解というものがありませんから、お客様の要望を理解しながらも豊かな想像力を発揮して、「こういう風にしたらどうだろうか」といったことを社内や協力会社、時にはお客様を巻き込んで、いろいろと提案できるような、そういった方であれば楽しく仕事ができるのではないでしょうか。

社長そういった資質も大切ですね。でも、一番はたくましさをもった人じゃないかな。何事にも負けないで、へこたれずにやっていけるたくましい人。未来を創っていくというのは簡単ではないはずで、時には想像を超える勇気や覚悟が必要になる場面があるかもしれない。そのためには、ひとつの物事をやり遂げるためのしぶとさというか、ある種のたくましさが必要でしょう。

専務そういう方であれば頼もしいですね。そのようなたくましさを土台として、その上でコミュニケーション力とか独創性とか、それぞれがもっている資質を存分に発揮できるのであれば理想的です。会社としても、そういった人材がのびのびと働ける環境づくりに、これまで以上に力を入れていきたいですね。

社長そうですね。そして何よりも、これからの未来をお客様と一緒に創っていく、協力企業さんと一緒に創っていこう、そういう熱意にあふれた方と、水戸工業の次の100年を、一緒に創っていきたいと願っています。